KIKI、ときどき鎌倉暮らし。 材木座海岸で海デビューした夏。

Culture 2021.08.14

KIKI

写真・文/KIKI(モデル)

鎌倉を引っ越し先に選んだ大きな理由に、「海が近い」というのがあったことを前回書いたけれど、暮らし始めてすぐに、季節問わずに気軽に海に行くようになった。今回は、夏の話。

5月くらいから、天気のいい日には、ほんの1時間でいい、空いた時間を見つけては、冷たい飲み物を水筒に入れて、文庫本を持って、自転車で海へ。日射しが本格的になってきたら、水着をきて、ワンピースを羽織って、タオルを一枚持って出かける。ざぶん!と海に入ってクールダウンして、持参したバスタオルの上でちょっと読書して、乾きかけの水着のままワンピースを被って自転車で帰る。家の庭に直行して、水やり用のホースで足の砂を流して家にあがる。準備も片付けもたいしていらない、この気軽な感じがとても好きだ。

210729-kamakura-01.jpg遠浅の材木座海岸。子どもと一緒に、浜辺でちゃぷちゃぷ遊ぶのにはちょうどいい。

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7月になると、海の家と海水浴場がオープンするので、少し海岸は賑やかになる。(海の家も海水浴場も、鎌倉の海岸は、今年は設営されず。)けれどこの賑やかさも、材木座の並びの由比ヶ浜と比べると、ずっと和やかで快適に過ごせることが多い。そして8月もお盆が近づけば、刺されるとヒリヒリと痛いクラゲが出没するので、海に浸かるのもおっかなビックリ。だから、その頃になると、「海に入れる時期は短いな、今年も夏が終わるなぁ」とまだ残暑の厳しい中、すこしだけ淋しい気持ちになる。

ひとり暮らしだった時の、鎌倉の海の存在は自由気ままに戯れる感じだったけれど、近年はすこし変わった。それは家族に、いまでは3歳になる柴犬と、2歳の娘が加わったから。うちでは姉妹という感覚の、1匹とひとり。彼女たちと一緒に過ごすようになってから、海は散歩コースの定番に、そして、もっとも身近な遊びの場所になった。

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夕暮れ、少し陽射しが和らいでから遊んだある日。海からあがった後に、おばが縫ってくれた甚平を羽織って。

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冬生まれの娘にとって、初めての海遊び砂遊びは、生後半年の頃だった。親によっては、海や砂浜はバイ菌が多いからと、もう少し成長してからという人もいるけれど、湘南界隈の人たちはある程度気にしつつも、子どもの海デビューは早い方だと思う。0歳の時は、日射しが強くなければオムツだけになって、日射しの強い日は、一枚羽織って、砂浜で自由にさせた。砂の感触が気持ちいいみたいで、放っておくと掴んだ砂を口元へ持っていくのだけは困りごとだったけれど。

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砂浜でたっちの練習。身体中についた砂は、あまり気にならない様子の娘。

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生後半年過ぎの娘。2歳半になったこの夏も、海が好きで毎週のように遊びに行っています。

水に入ったのは、真夏になってからだったか。私の脚の間に挟んで、波打ち際でチャプチャプ。その日の機嫌によるのか、水の温度によるのか、楽しそうにする日と泣いて嫌がる日とあった。けれど、毎週のように海に連れていっているうちに、夏の終わりにはすっかり慣れ親しんで、自ら海に向かってハイハイしていこうとするほどだった。
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夏に子どものいる友だちの家へ遊びに行くと、ベランダや庭に滑り台付きのプールがあって、羨ましいと思うこともある。けれど、ズボラな私は、おそらく水張りや片付けが面倒くさくて、ビニールプールを持っていても出番は少ないだろう。海は天気に左右されたり、しょっぱかったり、砂がついたり、いろいろあるけれど、娘はそんなことにはすっかり慣れて、たくましく育ってくれている。

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しっかりお座りができるようになった頃。海に向かって真剣な眼差し、ちょっと怖かったかな。

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海で遊んで、陽射しをたっぷり浴びると、お昼寝も夜もしっかり寝てくれます。

KIKI

モデル。1978年生まれ、東京都出身。武蔵野美術大学造形学部建築学科卒。雑誌をはじめ広告、テレビ出演、映画などで活躍。エッセイなどの執筆も手がけ、旅や登山をテーマにしたフォトエッセイ『美しい山を旅して』(平凡社)など多数の著書がある。現在、文芸誌『小説幻冬』(幻冬舎)にて書評を連載中。インスタグラム:@campagne_premiere

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