カンヌでイラン出身のモデルが「首吊りロープ」のドレスを纏った理由とは?

Culture 2023.05.30

彼女の行動は一斉に称賛された。5月26日、33歳のイラン出身のモデル、マフラガ・ジャベリは、非常に意味深いドレスを着てカンヌ映画祭の階段を上った。彼女は自国の抑圧的な体制を非難し、「女性、命、自由」のための運動を支持するために行動を起こしたのだ。

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カンヌのレッドカーペットに登場したマフラガ・ジャベリ。(フランス、2023年5月26日)photography: Getty Images

毎年のように、カンヌ映画祭のリズムに合わせてクロワゼットが2週間にわたって活気づく。カンヌの街は華やかさを好み、政治的な対立やフェミニストやその他の社会問題を一旦わきに置き、映画の祭典と、毎日カンヌのレッドカーペットを歩くスターたちにスポットライトを当てる。しかし一方で、一部の人々は周辺国で繰り広げられている紛争を忘れず、政府の無力さを非難するためにこのイベントを利用した。

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イラン出身のモデル、マフラガ・ジャベリはまさにそのひとりだ。彼女は5月26日、カメラマンたちの前を歩き、ケン・ローチ監督の映画『The Old Oak(原題)』の上映に出席した。

33歳のスーパーモデルは、自国の政権を物語るようなドレスでパレ・デ・フェスティバルの階段を上った。体にフィットした黒のロングドレスは、麻縄のネックラインが特徴的で、死刑囚のように首に巻かれていた。

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マフラガ・ジャベリ。(フランス、2023年5月26日)photography: Getty Images

このドレスの不吉なディテールは、イランの抑圧的な政権の暴力と、マフサ・アミニの死以来、国内で続く数々の抗議活動を思い起こさせるものだ。22歳のマフサ・アミニは昨年9月、ヴェールの着用が「正しくない」という理由で道徳警察に逮捕され、死亡した。この悲劇は国民の怒りを呼び、多くのイラン人女性が命がけで街頭に出て、ヒジャブを燃やしたり、反乱の象徴である髪を切り落としたりした。

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“女性、命、自由”

SNS上では、インターネットユーザーがこの「勇気ある行動」に広く拍手を送った。パルムドールを受賞した女性監督ジュスティーヌ・トリエの年金改革に関するスピーチについて、ある人は次のように書き込んだ。「真の挑戦、真のリスク、真の挑発。自分たちを養うシステムの偽りの犠牲者の偽りの反抗とはまったく相反するものだ」と賞賛した。

 

 

「イラン系アメリカ人のモデル、マフラガ・ジャベリ:勇気、利他主義、名誉、実生活」とも表現する人もいた。このビジューを身につけることで、彼女はイランのデモで謳われたスローガン“女性、命、自由”運動への支持を示した。

text: Léa Mabilon (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi

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