ナーズの製品開発者に聞く、新ファンデーション誕生の裏側。

Beauty 2023.03.22

この春、たおやかな光と潤いを宿した新感覚のマット肌を叶えるベースメイクコレクションがナーズから誕生。そのお披露目に合わせてアメリカから来日したナーズ コンプレクション/スキンケア新商品企画開発部 ヴァイスプレジデントの桑村真波さんより、製品開発の裏話やおすすめの使い方、キャリアに対する考え方について聞いた。

230313-NARS-newfoundation-01.jpg

桑村真波Manami Kuwamura
ナーズ コンプレクション/スキンケア新商品企画開発部 ヴァイスプレジデント
メイクアップアーティストやエステティシャンとして東京、パリでキャリアを積んだ後、アメリカで化粧品のマーケティングの道へ。2007年にナーズ コスメティクスに入社し、ブランド創始者であるフランソワ・ナーズのフィロソフィーを体現した製品づくりに取り組む。ベースメイクとスキンケアの処方開発をグローバルで統括し、継続的な人気拡大の立役者となっている。

― 今回発売される新たなベースメイク、「ソフトマットコレクション」の開発背景について教えてください。

ナーズにとって、メイクアップは自己表現の手段。そのためのツールとして、できるだけさまざまな選択肢を提供するため、これまでなかったマットフィニッシュのファンデーションの開発に取りかかりました。ひと言で“マット”といっても、どういうマットか、というところが大きな問題。ナーズにしかできない質感を叶えるためにこだわったのは、“光を味方につけた透明感のあるマット”というキーワードでした。

とはいえ、ファンデーションはカバー力を持たせるとどうしても重く厚ぼったくなりがちで、透明感とはかけ離れた印象に。同時に、ナーズのベースメイクがこだわるスキンケア効果もしっかり盛りこまなければなりません。そのために技術研究者たちと30カ月にわたって幾度もセッションを重ね、適度に皮脂を抑えながら乾き知らずという、理想の質感のためのテクノロジーをいくつも開発して取り入れました。

230322_nars_01.jpg

皮脂バランスを整えるテクノロジーで、潤いを保ちながら、オイリーに傾きがちな肌にも対応。フルカバレッジで一日中崩れにくいうえ自然な仕上がりに。ソフトマットコンプリート ファンデーション 全6色 ¥5,500(3/24発売)/ナーズ ジャパン

―これまでにもナーズからは多彩なベースメイクアイテムが展開されていますが、“ナーズの肌づくり”に共通しているフィロソフィーとはどういったものでしょうか?

すべてのベースメイクに共通するキーワードは、“光”と“透明感”。ブランドのクリエイティブ・ディレクターを務めるフランソワ・ナーズは、メイクアップアーティストでありながら写真家としての顔も持ち、光を操ることに長けているんです。「美しい肌とは、光をきれいに反射する肌だ」とよくおっしゃるので、その点は製品開発で必ずクリアしなくてはならないポイントのひとつです。

また、好みに合わせてアイテムを併用できることもナーズのベースメイクの特徴のひとつ。たとえば今回新発売される「ソフトマットプライマー」で表面を均一にした後、既存品のツヤ質感のファンデーションを重ねると、また違ったムードが楽しめます。肌においてもメイクでの“自己表現”を自由に楽しめるよう、既存品と併用して問題ないかどうかも開発時にすべてテストしますね。

ベースメイクとは、装いでいえば“下着”に当たると私は考えているんです。密着して肌の一部にならなければ不快ですし、その上に着る“ドレス”であるカラーメイクの見え方を大きく左右する。同じ赤リップを塗るにしても、マット仕上げの肌をキャンバスにすればインパクトが高まり、よりスタイリッシュに。薄づきのツヤ肌ファンデーションを塗った肌に合わせれば、柔らかな印象になるでしょう。言い換えれば、ベースメイクがルック全体の仕上がりを左右するということ。上手にアップデートしたり、服や気分に合わせて調整したりと、肌も“着替える”ことが重要です。

230322_nars_02.jpg

シルクのようになめらかなマット肌が叶うパウダー。テカリをブロックしながら、乾燥や粉っぽさも感じさせない。上: ソフトマット アドバンスト パーフェクティングパウダー 03122 中: 同 03123 下: 同 03124 各¥5,280(3/24発売)/ナーズ ジャパン

---fadeinpager---

―グローバル展開を視野に入れた製品開発において大変なのは、どのようなポイントですか?

各国のマーケットごとにベースメイクに求めるものが異なるので、「どのマーケットをどれくらい重視するか」といったさじ加減を念頭に置いておくことにはつねに気を遣っていますね。アジアで圧倒的に重んじられるのは、カバー力。ですが反対にフランスやイタリア、スペインなどヨーロッパ大陸の国々では、スキンケア効果と色があれば十分というユーザーが多いんです。アメリカとイギリスなどの英語圏は、アジアほどではないけれどカバー力も少し欲しいといった具合ですね。もちろんアジアの中でも日本、中国、韓国で少しずつ意見が異なるので、すべての人を満足させる製品づくりには多大な時間と努力を要します。

―日本人の求めるベースメイクは、以前に比べて変わってきているのでしょうか。

昨今の日本ではカバー力を求める傾向が和らいで、個性を打ち出す方向に変化してきていると感じますね。20年ほど前の日本は、流行に合わせて服も髪もメイクもみんな同じものを追っていたように思います。私自身アメリカから帰国した際、飛行機から空港に降り立つとすぐに「いまの日本ではこんな服やメイクが流行っているのか」とわかるくらい。

最近はそこから変移して、ベースメイクの好みがアジアの中でもナチュラル志向になってきました。だからそんな多様性の時代に向けて、自由な選択や組み合わせができる製品づくりをしていきたいと考えているんです。

230313-NARS-newfoundation-04.jpg

左: パーフェクトなマット肌のための下地。余分な汗や皮脂をコントロールしつつ、必要な肌の潤いはキープ。ソフトマットプライマー 30ml ¥5,170(3/24発売) 中: ソフトマットコンプリート ファンデーション 全6色 ¥5,500(3/24発売) 右: 気になる部分には高いカバー力のコンシーラーを組み合わせて。ソフトマットコンプリートコンシーラー ¥4,510/以上ナーズジャパン

 

---fadeinpager---

― 普段はニューヨーク在住の桑村さん。アメリカの企業は目標や結果にシビアなイメージがありますが、実際に働いてみていかがですか?

たしかにみんなハードに働いているけれど、何が評価されるのかがわかりやすいので、私はいいなと思っています。“失敗したらその場でクビ”なんてイメージがあるかもしれませんが、意外とそうでもなく、優秀な人材を継続して雇用することが重視される一面も。“働けば働くほど評価され昇進する”というシンプルな図式があるので、モチベーションを保ちやすいのかもしれませんね。個人的には、化粧品開発が好きなので長時間でも気にせず働き続けてしまう傾向にあり、労働条件の参考にはならないかも……。でもその中で、ネイティブスピーカーでない私でも、英文法の間違いや形式的なことを指摘されたことがないのは、すごい環境だなと。“いかに専門分野に特化して、そのことについてよく知っているか”だけを見てくれる、前向きで刺激的な街だと思います。

― 最後に、桑村さんご自身がキャリアの中で大切にしていることについて教えてください。

自分がいやだと思うことはしない、ですかね。会社にいると苦手な業務もやらなければならない状況になりますが、苦手なことは苦手と周囲に伝えて、できるだけ製品開発に没頭できるようにしてもらっています。そういう機会を与えてくれるこの環境にめぐりあえたことは、とてもラッキーですね。いまはすでに、2026年発売予定のアイテムの開発に取りかかっています。ナーズらしいハイクオリティな製品をお届けできるように頑張ります!

●問い合わせ先:
ナーズ ジャパン
0120-356-686(フリーダイヤル)
www.narscosmetics.jp

text: Misaki Yamashita

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

フィガロワインクラブ
Business with Attitude
パリとバレエとオペラ座と
世界は愉快

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories