英国や南米、各国らしさあふれる楽曲が勢揃い!
Culture 2024.12.11
英国の重要人物が集ったグループの続編。
『ウォール・オブ・アイズ』/ザ・スマイル
バンド名から想像がつかないくらい、シリアスでディープな音像が耳を貫く。レディオヘッドのトム・ヨークとジョニー・グリーンウッド、そしてUKジャズからインディシーンまで網羅するドラマー兼プロデューサーのトム・スキナーという3人の鬼才が集まったスペシャルプロジェクトによる2作目。2022年に突如登場して話題になったが、その鮮度は変わらずエッジーなナンバーを多数収めている。緻密なバンドアンサンブルと、そこはかとなく漂う退廃的な雰囲気に、誰しも魅了されるはずだ。
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ふたりの奏者が奏でる旅のサウンドスケープ。
『ザ・ルーム』/ファビアーノ・ド・ナシメント&サム・ゲンデル
細やかなアコースティックギターの爪弾きに、そっと語らうようなサクソフォンの響き。ブラジル出身のギタリストと気鋭の米国人ジャズサックス奏者によるデュオの本作は、南米各地に伝わる民族音楽を蒐集し、ふたつの楽器によるアンサンブルへと落とし込んだ異色作。ミニマルな編成特有の緊張感がありながら、一気に壮大な世界へと誘ってくれるような感覚に酔うことができるだろう。時にはジャジーに、時にはアンビエント風に、とさまざまな風景を浮かび上がらせる手腕が見事だ。
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新しい感覚で伝えるアメリカ音楽の神髄。
『ハーフシーズ』/リジー・ノー
リズム&ブルース、フォーク、カントリーといったアメリカーナと言われるサウンド。どこかあか抜けないイメージがあるかもしれないが、その世界観をモダンでスタイリッシュに表現するシンガーソングライターの3作目にしてワールドデビュー作。アリソン・ラッセルやアタッカ・クァルテットも参加し、繊細なアコースティックナンバーからハードなロックサウンドまで振り幅は広く、歌い手としての力量をアピールする。フェミニズムやLGBTQにまで目を配ったメッセージ性も重要だ。
*「フィガロジャポン」2024年3月号より抜粋
text: Hitoshi Kurimoto