自分を愛せている?「ランキング」&「リンキング」をチェック。

Society & Business 2022.01.06

From Newsweek Japan

文/ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

HSP(敏感すぎる人)提唱者が、自尊心が低くなってしまう理由を科学的に解説。10年の歳月をかけて見つけた、セラピストに頼らず自分で取り組むことのできる自己肯定感の育み方とは?

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内閣府の調査によると、日本の若者は諸外国の若者と比べて、自己肯定感が低いという。教育や社会環境の違いなど、さまざまな要因が考えられるだろうが、謙遜が美徳とされる日本で生き抜くためのひとつの知恵のようになっているかもしれない。

しかし自分自身を過小評価しすぎることは、自尊心の低さにもつながる。人は誰しも心の奥底に、自分には価値がないと思う部分を抱えているものだが、必要以上に自分を低いところに追いやることは、人生の幸福度を一気に下げてしまう。

近年日本でも話題になったHSP(Highly Sensitive Person=とても敏感な人)という気質について提唱した、アメリカの心理学者エイレン・アーロンが高感度(high sensitivity)の研究から見つけたのは、生まれもった性質を意識することによって、自己肯定感は育むことができるということだ。

エイレン自身も、自分を過小評価してしまう人間だったという。「この感情は強烈で、人生の大半をこの問題に悩まされてきたと言っても過言ではない」と話す。

実際に、エイレンがある授業を行った時のこと。授業の後、生徒数人がエイレンのもとを訪れ、授業の内容はおもしろかったが、話し方が非常に聞き取りづらかったと伝えられた。彼らは、エイレン自身が自分の話すことに価値がないと思っているみたいだと言ったという。

これをきっかけに、自分を過小評価することについて、何らかの手を打つ必要に迫られたエイレンが行ったことはどんなことか。

自分を愛せるようになる自己肯定感の教科書』(エイレン・N・アーロン著、片桐恵理子訳、CCCメディアハウス刊)には、自尊心が低い理由が科学的に解明されるだけでなく、エイレン自身が自己評価の低さを癒やし、コントロールした方法が明かされている。
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キーワードは、ランキングとリンキング。
 

自尊心を正しく育てるためには、ランキング(Ranking)とリンキング(Linking)がキーワードとなるという。

ランキングとは、「自分の格付け」だ。自分は低いところにいて、高いところを目指すべきであるというもので、現状の、ありのままの自分には価値がないというふうに感じてしまうこと。

私たちが日々行っていることの多くは、他人と自分を比較し、敬意、影響力、権力を得るための努力である。言い換えれば、社会の中での自分のランクづけである。

と同時に、思いやりや愛を示して他人と繋がり、絆や安心感も得ている。これがリンキングだ。人生を改善したいと思ったら、このふたつを組み合わせることが重要だという。

繋がりを築くために自分のランキングを使い、誰かに助言したり子どもたちに教えたりする。また、過小評価された自己をリンキングで癒すこともできる。ランキングとリンキングは、常に私たちとともにあるのだ。
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自分自身の基盤でもあるこのふたつにアプローチする方法を見ていこう。次のリストから、当てはまるものにチェックをつけてみてほしい。

《リンキング》
□人が心の奥深くに抱えている感情を表現する手助けができる。
□ギフトや親切な行為でよく好きな人を驚かせる。
□人が自意識過剰にならない方法を知っている。
□誰かに助けてもらったり、面倒を見てもらったりするのはとても簡単だ。
□より親密な人間関係を育む方法を知っている。
□口論を止める方法を知っている。
□人と会う時は、お互いに好意を抱くことを期待している。
□自分だけが食べ物をもっていたら、相手に分けてあげるか、人前では食べないようにする。
□私の人生には、深く、打ち明けた、率直な会話をできる人が何人かいる。
□人と話をする時は、それが適切であれば、相手の目を見てほほ笑むようにしている。
□意見が合わなかったり、好きじゃなかったりする相手でも、その人の考えや気持ちを理解しようとする。
□気分が落ち込んだら、特定の人を頼って気持ちを楽にすることができる。

《ランキング》
□何かを始める際、失敗を恐れていない。
□誰かが自分のために権力を行使していたら、それをはっきりと感じ取ることができる。
□物事がうまくいくと、自分を心から誇らしく思う。
□大事な時に失敗して自分はどうしようもないと感じても、本当に価値がないとは思っていない。
□大事な時に失敗しても、人一倍落ち込むということはない。
□失敗して落ち込んでも、それを乗り越える方法がある。
□誰かが何かいいことを言ってくれたり、してくれたりしたら、たいてい、それが心からのものなのか、見返りを求めた言動なのかがわかる。
□批判を謙虚に受け止めることができる。
□知らない人たちのなかでも、いいアイディアがあれば発言できる。
□人前で話すことができる。
□パフォーマンスや競技に臨む際、準備がしっかりできていれば自信をもって臨める。
□きちんと主張して自分の境界線を守ることができる。
□こちらに害が及ぶ可能性を考えもせずに利用しようとする人がいたら、すぐに看破できる。
□権力の濫用を防ぐために同盟を組むことができる。
□ダメージを受ける前に、ひどい扱いから距離を置くことができる。

どちらのリストでも、チェックした項目が少ないほど、エイレンの説から学ぶことが多いはずだ。また、それぞれのチェック項目を比べて数に偏りがあれば、ランキングとリンキングのアンバランスを修正するのにも役立つ。

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「気分をよくしてくれる人、気分を害する人リスト」をつくる。

自分で自分を過小評価し続けていると、あなた自身の望みを自ら邪魔することになる。そのためには、リンキングを増やす必要がある。

そもそも、リンキングとは、多少のマナーで自然と生まれるものだ。「おはよう、元気ですか、いい1日を」。こうした声かけひとつで、あなたが相手に敵意を抱いていないこと、協力する気があることを示す。この種の繋がりが社会生活のうるおいになり、ストレスを減らし、幸福感と長寿をもたらすことは多くの研究結果が示している。

何も数時間もひとつの話題で話し合えるとか、毎日食事を一緒にするような相手のことだけをいうのではない。こうした、心理的安全性を感じられるリンキンググループを複数もつことが、ランキングを減らすことにつながる。

そのうえで、「気分をよくしてくれる人、気分を害するリスト」を作ることだ。
あなたの気分をよくしてくれる人の大半は、あなたと温かく、親しみのある挨拶を交わしたり、ときどき電話で話したりする繋がりから、お互いにとって何より大切な愛という繋がりまでを築いている人たちだと気づくだろう。

一方、あなたの気分を害する人の大半は、漠然と批判されているという感覚から、優劣を決めることがすべてと思っているような、いわゆる"マウント"を取ってくるように感じる人ではないだろうか。

繋がりを築くことで、実は自分も相手も気持ちよく過ごせる。ランクづけられた人間関係は、常に自分の価値を脅かし、幸せを遠ざける傾向がある。

自己肯定感というと、自分の中の問題として考えられていたかもしれない。しかしエイレンは、相手との関係によって育んでいくものだという。

自分自身の心に火を灯すのはやはり「人」だ。「自分の気分をよくしてくれる人」との対話を通じて、あなたの自己肯定感を強くしなやかなものにしてみてはどうだろう。

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『自分を愛せるようになる自己肯定感の教科書』
 著者:エレイン・N・アーロン (著)、片桐 恵理子 (翻訳)
 CCCメディアハウス刊
 

 

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text: Newsweek Japan

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